エンタメ業界の危機を考える

 ライブイベントがオンラインになって個人的にはとても助かっているという話を前回の記事でしましたが、エンタメ業界はやっぱり大変みたいです。

 

(前編)

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(後編)

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 虹ヶ咲のライブでも無観客ライブというのはありましたが、キャストのみなさんがだいぶ戸惑っていた、というのはよく聴く話です。私自身みていて、いつものライブとは違って「とてもハラハラした」のを覚えています。無観客ライブで相良さんが100%の力を発揮できていないことは、観ている私たちがハッキリとわかりました。お客さんが現地にいないライブの「怖さ」というのを感じたのを今でも覚えています。

 

 緒方さんも仰っているように「どこを見て歌えばよいのだろう……」と戸惑ってしまう方が多いようです。いつもは観てくれているお客さんに目を合わせればよいのに、無観客で会場にいるのはスタッフと無数のカメラだけ。実際に無観客ライブをやったからこそ、その「怖さ」や「辛さ」というのがわかったという緒方さん。やはりライブ配信「だけ」のライブというのは、あまりメリットがなさそうですね。

 

 また、お客さんを少しだけ入れたライブというのも経験したようですが、今度は枠が埋まらなかったということも仰っていました。やはりライブに行くために地方から上京する方というのが、コロナ禍ではかなり少ないのでしょう。東京や大阪などの大都市のライブを観に行って地方に帰ってきてからコロナに発症したなんてことになったら、地方では村八分になりますからね。そういうリスクを考えると上京を見送るお客さんも多かったのだと思います。

 

 さらに配信ライブというのは、ギリギリまでチケットが売れないということも書かれていました。確かに、配信ライブの場合、直前で評判をみて「やっぱり配信でみよう」と開演ギリギリになって購入するお客さんも多い気がします。私もそのひとり。しかし、アーティストさんにとってみれば本番1,2日前にチケットが売れていないのはメンタルを直撃するわけですね。もしかしたら大赤字になるかもしれない、誰も観てくれないかもしれない、そんな「恐怖」がアーティストさんを、スタッフさんを苦しめるわけです。

 

 後半では、配信チケットライブが赤字になりやすい理由も書かれていました。これまでのライブでは、現地に足を運ぶ場合、一人につきチケット1枚が必須でした。自分と、お友達3人で、という場合だと、チケットは4枚必要でした。チケットが1枚9000円だとすると、これだけで単純計算で36000円の売り上げ。しかし配信チケットのほうは、現地のチケットの半額など安くなっている場合が多いこと、また4人が家に集まってみんなでみるなんてことをする場合は、配信チケット1枚分の4500円の売り上げになってしまう。売り上げが9分の1……これに加えて物販の売り上げも少なくなることを考えると、今のご時世ではライブをやればやるほど赤字になってしまうというのもうなづけます。

 

 1人1枚の原則が崩れてしまうことを考えると、やっぱりライブ配信が続くとは思えないな……というのが自分の感想です。お客さんにとってメリットが多くあっても、主催者側のメリットが無い、むしろデメリットばかりなのであれば「コロナ終息後にもライブ配信をニューフォーマルに!」なんて言えない。。。

 

 それでもやはりこの状況が落ち着くまでは、企業努力で何とかやっていくしかない。それに吉江さんの仰っているように「音楽は「体験」に紐付いているもの」「楽曲が何らかの個人的な体験とセットで語られるもの」。続けることで先につなげたいという強い想いで記事は締めくくられていました。私もこの吉江さんの言葉に同感で、ライブで音楽を全身に感じる「体験」もまた、アーティストさんにとってもスタッフさんにとっても、我々客にとってみても、人生の糧になると思っています。だからライブ配信が続くことになったとしても、多くのお客さんは、今の状況が落ち着けば実際に会場へ足を運んで「体験」に興じると思うのです。

 

 私だって、ワクチン接種が進み、医療現場のひっ迫が改善されたら、今度は会場で声を出してアーティストさんに声援を送りたい。これまでの「我慢」をそこで解き放ちたいです。そんな未来はもうそこまで来ていると信じています。だからあともうちょっとだけ頑張ってほしい……。そんなことを思う今日この頃です。